プランのこだわり

まず家づくりの第一ステップとして始まるのは土地を探すことです。例えば理想の間取りがあったとしても土地の形や方角、風の向きや道路がどのように面しているのかでプランは変わります。住研では決定した土地または検討している土地に対して、お客様の現在の生活スタイルとご希望の生活スタイルをお伺いし、光や風を考慮したプランのご提案をさせていただきます。

家づくりを考えるにあたりご理解いただきたいこと、それは日本の風土と生活様式、そして敷地の環境を考慮し、風と光を意識した暮らしをすることです。住研ではそれらを考慮した暮らしをご提案することを心がけています。

日本の風土
わが国の降雨量は欧米諸国の約10倍であるということです。古来から言われるように風土的にわが国の住宅においては『湿気』を考慮し、夏の過ごし方に重点をおくべきです。特に九州の気候は、風通しや遮熱材、断熱材、仕上材などの選定が重要になってきます。また台風銀座であることや地震対策も考慮にいれるべき事項です。(弊社では制震構造を構築する制震テープをご用意しています)
風の道・光の道
日本の四季の移り変わりの中で、特に夏が厳しい自然環境となり、住宅にとって遮光や通風を要求される季節です。例えば、軒や庇の出を開口高さの3割程度にすることで直射日光を遮り、冬は日差しを取り込むことが可能です。そのほか風と光の有効利用については、中庭から(風+光:周囲に大きな開口部を設けられない敷地などに有効)、室内の地窓、高窓から(風:外気の入口を低く、出口を高くすることで、空気の対流を利用して換気・排気をスムーズにする)、よろい戸、ブラインドなどを使って(風+光:夏場の直射日光を遮りながら風を取り入れる)、出窓(風:壁面に対して平行に吹いてくる風を捉えて家の中に取り込む)、室内部屋間にランマを設置する(居室のドアを閉めても、空気の流れを妨げず、通風・排熱を行う)、格子戸(通風・採光と適度なプライバシーの確保、防犯を両立させる)、土間(蓄熱効果により、外気温の影響を受けにくくする)、庭の南側には落葉樹を植える(夏は日差しを遮り、葉から水分を蒸発させることで周囲の熱を奪い、涼しい空気をつくり出す。また、道路面等から放射される熱の侵入を妨げる。冬場は葉を落として日差しを取り込む)、庭の北側には常緑樹を植える(夏場は冷気をつくりだし、冬場は冷たい北風から家を守る)などの工夫が挙げられます。また近頃は屋上・壁面緑化(室内の遮熱効果、ヒートアイランド現象の抑制)の有効性も言われ始めています。 また気候の良い時期には爽やかな風と光、冬には暖かい内装仕上材の無垢の木のぬくもりが欲しいものです。このようにプランと建築材料は快適に過ごす上で、十分に検討されなければならないものなのです。私たちは常に風の道や光の道を取り込んだプランを提案しつづけたいと考えています。北風は入れるべき、西窓は小さくてもあけるべき、風はなるべく直線的に通すべき、です。
生活スタイル
日本の民家は欧米とは異なり、外部空間との共生、一体化をテーマとして進化してきました。一時効率最優先の時代もありましたが、暮らしに少しづつ余裕ができるにつれ、それを再び望む方も多くなってきています。例えば、門扉、駐車場、アプローチ、植栽、物干し場などは、これらを住宅から区別して外構と呼んでいます。外構については、家を建てるのがやっとで、そこまで考えていなかった、建ててみて『しまった』と思ったというお話をよく耳にします。外構は住宅と同じく大切な生活スタイルのひとつです。具体的には、敷地に接続する公共の道路からプライベートゾーンに入る際にその境界の遮蔽物として植栽や住宅本体の仕上に馴染む塀などを設けたいものです。次に大切なのは、門扉を通過して玄関へと続くアプローチ部分です。直線的に入ってゆくのではなく、曲がりながら適度に視線を遮りつつ入ってゆく方がゆとりが感じられ、雰囲気の良いアプローチになると思います。外構計画については、グループ企業であるハヤシグリーンテクノ(造園業)とタイアップして、洋風、和風にこだわらず、様々なプランをご提案いたします。例えば気候の良い時節には、ウッドデッキで食事をする、というような愉しみを持ちたいものです。

間取りは敷地の決定後、平面プラン(プランの中で一番大切です)を中心に担当設計士がお客様と一緒に、建築計画をどのようにして練ってゆくかにで変わります。それでは具体的なプランの構築作業のご説明をします。

初めに考えるべきこと
『敷地周辺の環境がどうなっているか』ということは重要です。それを観察することによって、その敷地にどのような家が合うのか、建物の配置、駐車場の設け方はどうするか、さらに間取はどうするのか、を決めていきます。 また、家のイメージも敷地周辺の環境に逆らわない方が、落ち着いた仕上りを期待できます。
敷地周辺の環境調査(現地調査)
敷地の境界確認と実測図は重要です。お持ちの情報をご提供ください。 次に進入路や側道、道路斜線(建物の高さの制限)を調査します。さらに都市計画法における用途地域(建築できる面積などが制限されています)、準防火地域に含まれているかなど、様々な行政上の規制を調べます。そして、上水、下水、雨水排水経路などの調査、土地の高低差の調査などを行います。特に進入口と敷地との高低差をどのようにとるかによって、建築コストが大きく変わってきますのでご注意ください。

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敷地周辺の環境を図にして検討

その上で敷地の利用計画を大まかに決定します。

チェックポイント

風の通し方(建替えの場合は、夏の風の方向、冬の風の方向の確認をします)、夏・冬の採光と北側の部屋の用途、道路との距離や周囲の住宅の窓の位置から防犯の方法やプライバシーの守り方はどのようにするか、などのポイントをもとに最も有効な敷地の使い方を検討します。

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プランを開始する前に敷地内に大まかな間取のブロックプランを作成

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住まい方の聴き取り

大まかな敷地の利用計画・建物の位置を決定したら、次にご家族に合った住まい方、居心地のよい間取のポイントを検討します。

チェックポイント

  1. キッチンレイアウト

    キッチンは住宅の最も大切な場所と考えてよいと思います。
    私たちは、キッチンのレイアウトから家全体の間取を考えていく、と言っても過言ではありません。I型かL型か、対面型か否か、それともアイランド型にするのか…。住宅の中心部を決定することによって、プランづくりがスタートします。

  2. 主婦の動線を考える

    毎日の家事における洗濯や掃除、その際の脱衣室、浴室、トイレなどの配置を検討します。また、キッチンとダイニングとの動線、リビングと畳の間(設ける場合)との関係も重要です。ダイニングとリビングは、どちらで過ごす時間が長いのかによってプランが変わってきますので、長時間過ごす場所の意識付けをするとよいと思います。

  3. 畳の間(和室)・畳スペースの活用

    畳のある部屋を客室だけに使うのは、少しもったいないような気がします。リビングに隣接させて建具で間仕切れば第2のリビングとして機能します。また、歳をとれば畳が恋しくなるものです。リビングの一部に畳スペースを設けることも考えてみてください。

  4. 子供室の考え方

    子供室は、あまり独立性を持たせず、子供の気配を感じられるプランをお勧めします。家族のふれあいのなかで、あかるくのびのびと子供たちが育っていける空間をご提案したいと常に考えています。

  5. 以上を決定した上で、家族全員の適度なプライバシーを守るゾーニングに入っていきます。
  6. 『ミニマムな暮らし』(小さな住宅)のご提案

    子育てには、広いスペースの方が都合がいいのは、多数意見だと思います。しかし、その期間は20年程度です。それ以降は、夫婦2人だけの生活という可能性が大きいのです。使わなくなった部屋の掃除や建物の維持管理も大変です。子供たちが巣立ったあとのことも考えてプランづくりを進めましょう。少ない床面積でも間仕切りに自由性を持たせることにより、親子が十分に暮らしてゆける住宅をつくることは可能です。光熱費の面でも家計や環境にやさしいものになります。そうすれば、限られた予算の中で、さらに仕上を好みのものにしたり、外構計画をより充実させる、住宅設備をアップグレードするというようなこともできますし、いっそう愛着のわく我が家になるかもしれません。小さくても住み良い家をつくる、それが私たちの住宅設計だと考えています。

  7. 子供が巣立った後のご夫婦おふたりの住まい

    住まいで過ごす時間が長くなります。自分の時間を大切にする、健康で趣味や家事も愉しめる、そんな住まいがより一層求められます。ご夫婦おふたりの緩やかなくつろぎを実現できる、大切な憩いの場所であることを念頭において、歳をとるとともに低下する心身の機能を配慮しながら、それぞれが不自由なく暮らすことのできる安全な住まいを提案します。

  8. 2世代・3世代家族の同居住宅

    最近ニーズが高まっています。その際、キッチン、浴室、トイレ、玄関などを共有されるのか、別にするのか、あらかじめ決定しておいてください。それをもとに将来の生活スタイルの変化を考慮して、ご一緒にプランづくりを進めていきます。

    

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さらにプランづくりに関してのいくつかのポイント
  1. 1.ダイニング、リビングは日頃の具体的な使い方を思い起こして計画する。
  2. 2.二階は夏の太陽光から大きな熱量を受ける部分なので特に風通しを考慮する。
  3. 3.北側の部屋は書斎・寝室などに最適である。
  4. 4.トイレは、各部屋からの距離やお年寄りのことも考慮する。
  5. 5.予算は限りあるもの、どこにお金をかけるのか考えをしっかりまとめておく。(共有スペースなのか、プライベートスペースなのか、来客スペースなのか…)
軸通りのお話
家の強度は、外周の柱、桁、壁だけではなく、内部の支えの柱、壁が重要な役割を占めています。柱間を支えるための梁が家の内部にも架かっていますが、その位置がきれいな矩形の集合した形にプランをまとめることが大切です。1階と2階の壁の位置がずれていると、家に対する外部からの力が均等に梁や柱に分散せず、一箇所に集中する部分を生じてしまい、長期の使用に問題を生じる結果にもつながりかねません。
外装について
わが国において構造体(土台、柱、桁、梁)に木を中心とした自然素材を使用することで最も注意しなければならないのは、空気を循環させて呼吸をさせる、ということです。外壁部分に適切な通気措置が考慮されているか、もチェックポイントと言えます。(住研では、外壁内に通気スペースを設け、空気を循環させています。)
内装について
上記~外装について~で述べました『湿度』を考慮すれば、無垢板、珪藻土、漆喰などは最適な材料と言えるでしょう。そして特に気を配っていただきたいのが、床材の選定です。床は人の肌と接する機会が一番多い、住宅の中でも最も大切な部分のひとつです。無垢材は合板系の接着剤を用いたフローリングに比べると、冬の温かな肌触りが随分違うと実感していただけると思います。また樹種によっても温かみに違いが生じます。汚れを気にされてウレタン系の塗装を希望される方もいらっしゃいますが、無塗装・自然塗装品に比べると肌触りや、温かみの点ではかなり違ったものになってしまいます。
在来工法住宅の予算について
在来工法住宅は天然素材である木材を中心材料として建築していくシステムであり、その加工、組立てなどに熟練したプレカット工場や大工さんの協力が必要なため、人件費の占める割合が多くなってしまいます。そこで弊社では、あらかじめ想定した生活パターンや予算に応じた仕様の商品化住宅(花梨、ライトハウスなど)を企画することにより、できるだけお求めやすい価格で住研の住宅を皆様にご提供できるよう努力をしています。商品化住宅の住まい方に共感していただけるお客様には、こちらの方が経済的なご負担が軽くなるものと思います。
 また、オリジナルなプランを望まれるお客様には、営業スタッフへ皆様方の生活スタイルをお伝えください。担当の設計士がお話をうかがいながら皆様のご希望に沿ったプランをご提案します。完全注文によるプランは、当社の住宅の多数を占めています。